2025.06.13

ピル（低用量）の種類一覧と違いを徹底解説！効果と副作用や保険適用で処方してもらえる条件は？

低用量ピルは様々な種類があるので、服用を始めたいもののどの種類を選べば良いか分からない人も多いです。

事前にピルの種類を調べておくと、自分に合ったピルを処方してもらいやすいです。

低用量ピルの服用を検討している人に向けて以下の内容をまとめました。

低用量ピルは有効成分の種類や量によって細かく分類されるため、目的に応じて選ぶのが大切です。

低用量ピルを服用するメリットだけではなく、注意点も把握した上でクリニックを受診しましょう。

低用量ピルの服用について分からないことがあれば、診察時に医師に相談するのもポイントです。

低用量ピルの種類一覧と分類

低用量ピルの種類は主に以下があります。

種類によって有効成分の種類や量が異なり、世代別や相性別とさらに細かく分類されます。

世代によって含まれている黄体ホルモンや副作用が異なり、どのような用途で服用したいかで適切な種類を決めるのがポイントです。

相性別では各錠剤のホルモン量の一定かそうでないかにより、一相性と三相性に分類されます。

低用量ピルは避妊を目的とする場合は保険適用外ですが、月経困難症や子宮内膜症の治療目的で用いられる場合は保険適用になります。

低用量ピルの種類や特徴を把握した上で、各クリニックで取り扱っている種類と照らし合わせながら自分に合うクリニックと低用量ピルを選びましょう。

世代によって異なる低用量ピルの有効成分

低用量ピルは、第一世代〜第四世代に分かれ、有効成分が異なります。

第一世代はノルエチステロンが配合されており、日本で最初に承認されたピルで、現在も広く使用されています。

頭痛やむくみ、不正出血などの副作用のリスクがあります。

第二世代はレボノルゲストレルを配合したもので、重度の血栓症の副作用が報告されています。

第三世代はデソゲストレルが含まれている低用量ピルです。

性欲低下や抑うつの副作用が現れる場合もあり、血栓症リスクにも注意が必要です。

第四世代はドロスピレノンが配合されており、ホルモン量が少ないため、超低用量ピルとも呼ばれています。

35歳以上でも使用できる可能性があるため、他の低用量ピルが使えないときに用いられるケースがあります。

開発されてから歴史が浅く、避妊目的ではなく子宮内膜症や月経困難症の治療目的で処方されます。

低用量ピルを処方する目的や副作用の程度から、自分が求めている種類のピルを見つけましょう。

有効成分の量によって異なる相性

低用量ピルは、有効成分の量が一定かそうでないかによって一相性または三相性に分類されます。

一相性ピルとは、すべての錠剤に同じホルモン量が含まれているタイプです。

プラセボ以外は、ホルモン量が一定のため三相性ピルのように、飲む順番を間違えるリスクが少ないです。

三相性ピルとは、3種類のホルモン量の薬を1週間ごとに切り替えて飲むタイプです。

自然なホルモンバランスに近づけて設計がされています。

飲み間違いが怖い人は一相性、自然なホルモンバランスに近いものを好む人は三相性の低用量ピルを検討しましょう。

低用量ピルは子宮内膜症や月経困難症の治療目的なら保険適用で処方してもらえる

低用量ピルは避妊を目的とする場合は保険適用外ですが、子宮内膜症や月経困難症の治療目的で処方されるなら保険が適用されます。

保険適用で処方される主な低用量ピルは以下の通りです。

ルナベルLDとルナベルULDは、月経困難症の治療に使われます。

第一世代ピルに分類されますが、ULDタイプでは卵胞ホルモン量が20μgで、LDタイプより少ないです。

フリウェル配合錠LDとフリウェル配合錠ULDはルナベルのジェネリック医薬品で、ルナベルと同じく月経困難症の治療に用いられます。

メーカーは異なりますが、有効成分の種類と量は先発品と同じです。

ヤーズは第四世代ピルに分類され、月経困難症の治療で保険適用になります。

ヤーズフレックスはヤーズをベースにして開発されたもので、日本初の連続服用可能なLEP製剤です。

通常のピルは28日に1回休薬期間を設ける必要があり、休薬期間中には消退出血と言われる月経のような出血が起こります。

ヤーズフレックスは不正出血が起こらなければ120日間継続して服用可能なので、休薬期間を減らせます。

治療目的で低用量ピルを保険適用で処方してもらいたい人は、上記の低用量ピルを取り扱っているクリニックを受診しましょう。

低用量ピルはどのように選ぶべき？目的別に適した代表的なピル

避妊目的で低用量ピルを服用したいならトリキュラー、マーベロン、シンフェーズ、ファボワールを選びましょう。

ピルの効能効果は、避妊を目的としたものと、子宮内膜症や月経困難症の治療を目的としたものに分かれます。

しかし、ピルを処方するクリニックでは、その他の悩みに対してピルを処方しているところもあります。

悩み	低用量ピル
生理痛	ルナベルULD、フリウェルULD、ヤーズフレックス
ニキビ、肌荒れ	マーベロン、ファボワール、ヤーズフレックス
PMS	ヤーズフレックス

引用：スマルナ

初めてピルを服用する人や過去にピルの服用で強い副作用が現れた人は、黄体ホルモンのみを配合したミニピルがおすすめです。

低用量ピルを服用する理由に合わせて、服用したい種類を取り扱っているクリニックを受診しましょう。

避妊目的にはトリキュラーやマーベロンなど

避妊には、避妊を目的して作られているトリキュラーやマーベロン、シンフェーズ、ファボワールを選びましょう。

飲む順番を間違えるのが怖い方には、一相性のマーベロンやファボワール、自然に近いホルモンバランスを重視する方には三相性のシンフェーズやトリキュラーがおすすめです。

性生活を快適に保ちながら低用量ピルを服用したい人は医師に相談の上処方してもらいましょう。

生理痛の悩みにはルナベルULDやフリウェルULD

生理痛で悩んでいる場合には、ルナベルULD、フリウェルULD、ヤーズフレックスが用いられることがあります。

ルナベルULDやフリウェルULDは月経困難症と診断されれば保険が適用される可能性も。

種類によっては合う合わないがあるため、医師と相談した上で自分に合ったピルを見つけましょう。

ニキビや肌荒れの悩みにはマーベロンやファボアール

ニキビや肌荒れの悩みに対しては、マーベロン、ファボワール、ヤーズフレックスが用いられることがあります。

多くの女性が希望する月経困難症の治療とは異なる目的での処方になります。

クリニックを受診する際は、肌荒れやニキビの悩みで低用量ピルの処方を受けたい旨をしっかり伝えましょう。

PMSの悩みにはヤーズフレックス

PMSの悩みには、ヤーズフレックスが用いられることがあります。

月経前症候群とも呼ばれるPMSは、生理周期に伴うホルモンの急激な変動によって引き起こされる症状です。

PMSには主に以下の症状があります。

PMSに悩んでおり、ピルを服用したいときは医師に相談しながら選びましょう。

副作用が不安な人はエストロゲンを配合していないミニピルがおすすめ

副作用が不安な人は、エストロゲンが配合されていないミニピルがおすすめです。

ミニピルとは、プロゲステロンのみを含むピルを指します。

低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンを含んでいますが、ミニピルにはエストロゲンは含まれていません。

ミニピルの代表的な種類は以下の通りです。

日本で承認されているのはノアルテンとディナゲストのみで、残りは国内未承認薬です。

ただしノアルテンとディナゲストは、避妊目的には使えません。

初めてピルを使用するが副作用が心配な人、過去にピルを服用して強い副作用を経験した人は、医師にミニピルについて相談してみましょう。

低用量ピルを服用するメリット

低用量ピルを服用するメリットは以下の3つです。

避妊を目的とした低用量ピルであれば、避妊具の着用以外の避妊方法の選択肢が増えるメリットがあります。

子宮内膜症や月経困難症の治療を目的とした低用量ピルもあるので、治療の選択肢となり得ます。

また、効果としては承認されていませんが、ニキビや肌荒れ、PMSや生理痛に対して、低用量ピルを処方してくれるクリニックもあるので、これらで悩んでいる場合は、相談してみましょう。

避妊方法の選択肢を広げられる

避妊を目的とした低用量ピルを服用すれば、避妊する方法の幅が広がります。

ホルモンの働きにより卵巣からの排卵がストップするので、受精も妊娠も起こる確率が下がります。

子宮内膜が薄くなると受精卵が着床しにくく、精子が子宮内に入りにくくなるため受精の可能性がさらに低下します。

実際、低用量ピルの避妊効果は非常に高く、正しく服用したときの避妊成功率は99%以上です。

低用量ピルはコンドームとは異なり女性自身がコントロールできる避妊方法で、妊娠のタイミングを自分で決めやすくなり、キャリアやライフイベントと両立が実現できます。

避妊方法の選択肢を増やしたい人は、避妊具の装着に加え低用量ピルの服用を検討しましょう。

毎月辛い女性疾患の治療ができる

低用量ピルの中には、子宮内膜症や月経困難症の治療を目的としたものがあります。

例えば子宮内膜症は子宮内部以外に子宮内膜が卵巣や腹膜に発生し、月経のたびに発育を続ける病気です。

子宮内部以外にできた子宮内膜の組織は剥がれ落ちる場所がなく、体内に貯まり続けます。

やがて炎症を起こして痛みや不妊の原因になるケースもあり、将来的にがん化するリスクも。

悪化すると手術になる可能性があるので、早めに医師に相談して、低用量ピルでの治療を始めるのがおすすめです。

すべての人に適しているわけではないため、服用前に医師との相談が必須です。

多くの婦人科系疾患は早期発見と早期治療が重要なので、定期的な婦人科検診や血液検査なども受けましょう。

その他の悩みで低用量ピルが処方される場合がある

低用量ピルの承認された効果は避妊、または子宮内膜症や月経困難症の治療です。

しかし、クリニックによっては、以下の悩みに対して、低用量ピルを処方する場合があります。

いずれも保険適用にはならず自由診療になりますが、これらの症状で悩んでいる場合は、医師に低用量ピルについて相談してみましょう。

ピルの服用時に知っておきたい注意点

低用量ピルを服用するときの注意点は以下の4つです。

低用量ピルはホルモンが含まれているため、服用した後に副作用が起こる可能性があります。

副作用の程度は人によって様々ですが、副作用が現れたら継続せずに服用を一旦やめて医師に相談しましょう。

年齢や持病によって、低用量ピルを服用したくても医師の判断で処方してもらえないケースがあります。

服用中の薬や日常的に摂取しているサプリメントがあれば、ピルと併用できるか医師への相談が必要です。

毎日決まった時間帯に服用する必要がありますが、飲み忘れたときに正しく対処しなければ避妊が期待できません。

低用量ピルの服用を検討している人は、メリットだけではなく注意点も把握した上で処方してもらうか判断しましょう。

副作用が起きたら服用を一旦やめる

低用量ピルの服用を始めてから副作用が現れたときは、一旦服用をやめるのがポイントです。

低用量ピルはホルモンを体に取り入れる薬なので、副作用が出る可能性があります。

低用量ピルの服用でよくある副作用は以下の通りです。

軽い症状だからと我慢していれば慣れると思って無理に続けてしまうと、重篤な副作用につながるリスクも。

急にやめると月経周期が乱れたり、服用を中止した日から避妊効果がなくなったりするリスクもあるので、医師の指導に従って対処しましょう。

ピルを処方できないと判断されるケースがある

クリニックを受診しても、ピルを処方できないと判断されるケースがあります。

ピルの処方ができないと判断されるよくあるケースは以下の通りです。

ピルは血栓症を引き起こす可能性があり、35歳以上の喫煙者は血栓や心筋梗塞のリスクが特に高くなります。

血圧が高い状態でピルを服用すると血管系への負担が増し、脳卒中などのリスクが上昇する恐れも。

過去に血栓症や心筋梗塞を経験していると再発のリスクが高いため、原則としてピルの使用は避けるべきです。

前兆のある片頭痛は脳血管系に影響する可能性があり、ピルとの併用で脳卒中のリスクが上がるため処方を受けられない場合も。

エストロゲンやプロゲスチンに影響されやすいがんがあると、ホルモンの影響で再発リスクが高まる可能性があります。

ピルの代謝は肝臓で行われるため、肝機能に障害がある人には処方できないケースも。

受診するときは喫煙の有無や既往歴を医師に正確に伝えて、自分に合った低用量ピルを提案してもらいましょう。

ピルとの併用に注意すべき薬がある

低用量ピルを処方してもらうとき、併用に注意しなければいけない薬を把握する必要があります。

低用量ピルとの併用に注意すべき薬は以下の通りです。

併用に注意な薬	注意すべき理由
抗てんかん薬	肝酵素を誘導しピルの代謝を早めてしまうため避妊効果が弱くなる
抗生物質	リファンピシンはピルのホルモン成分の血中濃度を大きく下げる
抗HIV薬・抗真菌薬	リトナビルやケトコナゾールはピルの代謝に影響を及ぼす
漢方薬・サプリメント	セントジョーンズワートは肝酵素を強く活性化しピルの効果を弱める

※リファンピシンは主に結核の治療薬として使われる ※リトナビルは抗ウイルス薬 ※ケトコナゾールは抗真菌薬 ※セントジョーンズワートはハーブ

抗てんかん薬は肝酵素を誘導して低用量ピルの代謝を早め、避妊効果が弱くなってしまいます。

リファンピシンといった抗生物質は、低用量ピルのホルモン成分の血中濃度を大きく下げてしまうリスクも。

抗HIV薬と抗真菌薬はピルの代謝に影響を及ぼすため、期待通りの効果が得られない恐れがあります。

漢方薬とサプリメントの中でも、ハーブであるセントジョーンズワートは肝酵素を強く活性化しピルの効果を弱めてしまいます。

服用している薬やサプリメントがあれば受診時に医師に伝えましょう。

飲み忘れたときは正しい対処が必要

低用量ピルは決まった期間中毎日飲む必要がありますが、飲み忘れたときは正しい対処を行わなければいけません。

飲み忘れによるホルモンバランスの崩れが起こると、以下のデメリットにつながります。

1日1錠服用するタイプの低用量ピルは、1錠飲み忘れたときと2錠飲み忘れたときで対処法が異なります。

1錠飲み忘れたとき	2錠以上飲み忘れたとき
・気付いた時点ですぐに服用する ・前日の分と当日分の2錠を一緒に服用する	・1～2週目での飲み忘れは忘れた分の最後の1錠だけをすぐに服用して通常通り服用を再開する ・3週目での飲み忘れは服用を中止し新しいシートをすぐに開始する

飲み忘れないことが肝心ですが、飲み忘れた際はすぐに正しく対処することが重要です。

最後に飲んだピルから数えて48時間以上空いているときは、1〜2週目の飲み忘れなら通常通り服用を再開、3週目での飲み忘れなら新しいシートを再開しましょう。

28錠タイプにはホルモン成分が含まれていない偽薬があります。21錠タイプは7日間の休薬期間を挟みますが、28錠タイプはピルを習慣化して飲み忘れを防ぐ目的で22日～28日目に偽薬を飲む仕組みです。

低用量ピルの飲み忘れを防ぐために、アラームやスマホアプリを活用して飲む時間を管理しましょう。

ピルの種類に関するQ&A

ピルの種類に関するよくある質問は主に以下の2つです。

低用量ピルを選ぶ際、できるだけ費用を抑えたいから安い種類にしたいとの意見も多いです。

用途に合わせて低用量ピルの種類を変えたいものの、どのタイミングで変えれば良いか分からないときもあります。

低用量ピルを飲み始めようとしている人や、すでに服用中で種類を変えたい人は、疑問点を解消してから処方してもらいましょう。

ピルの種類で値段は変わる？

ピルの種類によって値段は大きく変わり、同じ種類のピルでも価格は様々です。

ピルの種類	価格（自由診療、メデリピルの例）
低用量ピル	1ヶ月分2,790円（税込）
中用量ピル	7日分1,980円（税込）
超低用量ピル	4,580円～9,900円（税込）

※メデリピルの価格を参照

超低用量ピルは月経困難症や子宮内膜症の治療目的の場合は、保険適用になります。。

ピルも含めて、あらゆる薬で、先発品は高くジェネリックは安いため、費用を抑えたい場合はジェネリックを選びましょう。

ピル代金の他に診察料や送料が別途かかるため、ピル自体が安くてもトータルで高い費用がかかるケースも。

避妊目的でのピルの処方は自由診療なので、同じピルでも病院によって費用が異なります。

低用量ピルの費用負担を減らしたい人は、オンラインクリニックの定期便を活用して1シートあたりの価格を抑えましょう。

ピルの種類を変えたいけどタイミングは？

ピルの種類を切り替えるタイミングは、次のシートを開始するときが一般的です。

21錠タイプなら休薬期間、28錠タイプなら偽薬服用期間を過ごしてから新しい種類のピルを飲み始めましょう。

適切なタイミングで行えば、ホルモンのリズムや避妊への影響を抑えながらの切り替えが期待できます。

ただし副作用が強かったり体に合わなかったりすると、休薬期間を置かずに医師の判断ですぐに切り替えを勧められるケースもあります。

服用しているピルの種類を変えたいときは、必ず処方医に相談してから切り替えましょう。